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FP実技試験対策『遺留分に関する民法の特例』

 

こんにちは、FPのえーすけです。

 

今回はFP1級実技試験で必ずと言っていいほど勉強する、『遺留分に関する民法の特例』について簡単に説明します。

 

事業承継が中々スムーズに進まない世の中で、経営承継円滑化法の知識はすごく役立つ知識です。

 

少しでも参考になればと思います。

  1. 遺留分に関する民法の特例とは?
  2. 特例の3つの合意
  3. 民法の特例を利用するにあたって
  4. プラスαとし『付随合意』

 

1.遺留分に関する民法の特例とは?

事業承継で大切な要素の1つに自社株式の後継者への移転があります。

後継者に株式の多くを移転させ、会社の議決権を確保することは、とても重要です。

しかし自社株式は立派な個人資産であるため、移転と言っても様々なハードルが存在します。

そのハードルがFP1級面接試験で頻出の2点です。

1つは前回説明させてもらった『事業承継税制』もう1つがこの『遺留分に関する民法の特例』です。

通常、先代からの株式の贈与は遺留分の算定基礎財産に影響を与えます。

事業を安定継続させる為に株式を後継者に集中させるとこは必須であり、この影響を少しでも軽減する為の特例です。

 

2.特例の3つの合意

遺留分に関する民法の特例には3つの合意方法があります。

『除外合意』『固定合意』『付随合意』の3つです。

 

『除外合意』とは
「先代の経営者から贈与された株式等を、相続時に遺留分算定基礎財産から除外する」という合意をすることを、除外合意と言います。

除外合意を行うことで他の相続人は、株式等を遺留分として主張できなくなるので自社株が分散させずに後継者に集中させることができます。

 

『固定合意』とは
後継者が贈与した株式等の評価額を合意時の額で固定する合意のことです。

例)贈与時に3,000万円で固定合意したが、相続時には値上がりして5,000万円になっていた

この場合後継者の努力により株価が上昇したのに、上昇分まで遺留分の算定基礎財産に加えられるのは、後継者にしてみれば納得がいかないですよね。

後継者の負担を減らす為、贈与時の株価に固定する事を決めます。

ただし合意による評価額は適正である必要がある為、税理士や弁護士、公認会計士など専門家の証明が必要になります。

 

付随合意とは
合意にはもうひとつ、「付随合意」という除外合意と固定合意の双方、あるいはどちらか一方を合意した場合にすることができる合意があります。

『付随合意』とは

・後継者が贈与を受けた株式等以外の財産

・非後継者が贈与を受けた財産

遺留分算定基礎財産から除外できるという合意です。

 

中でも試験対策として重要なのは、『除外合意』と『固定合意』の2つです。

 

 

3.民法の特例を利用するにあたって

次は遺留分に関する民法の特例を利用するために必要な条件と手続きについてです。

遺留分に関する民法の特例を利用するには、推定相続人(将来相続人になると推定される人)全員の合意が必要です。

また先程の除外合意と固定合意はどちらか一方だけでも、併用することのいずれも可能です。

例)先代社長より贈与により取得した1000株のうち700株は「除外合意」の対象で残りの300株を「固定合意」の対象とする

このように併用することも可能なので、相続人で話し合ってベストな方法が決められます。

 

4.プラスαとし『付随合意』

FP1級面接試験では、ここまでは求められないと思いますが参考までに(自分も受験時には知りませんでした笑)

除外合意・固定合意のいずれか一方でも双方でも合意した場合には「付随合意」の活用が可能です。

上記したとおり、付随合意をすることで他の財産も遺留分から除外できます。
自社株以外の資産についても、遺留分基礎財産から外すことができます。

具体的には

・後継者が贈与を受けた株式等以外の財産
・非後継者が贈与を受けた財産

などが当てはまり、合意の対象とする財産の種類や額には制限はありません。

言ってしまえばほとんどの財産が対象です。

※注意としては付随合意の対象となる自社株以外の資産については価格を固定させることはできません。

付随合意の利用は、相続時の親族のトラブル事前に回避する為に大いに役立つと思います!

 

最後に

FP1級面接試験は今までの筆記の試験とは比較出来ないほど、緊張すると思います。

ただ一言一句覚えてる必要はなく、大事なのは制度の中身を理解していることだと思います。

また事業承継については、今社会問題になっていることであり、経営承継円滑化法の知識は実務として、すぐに活かせると思います!

微力ではありますが、受験者の方の合格の為に役立てればと思います!