M&Aとは、企業の合併や買収のことで、事業の拡大や多角化、後継者問題の解決などの目的で行われます。小規模事業者とは、中小企業基本法で定められた中小企業者のうち、さらに小さな規模の企業者を指します。具体的には、資本金や従業員数が一定の基準以下の企業者です。小規模事業者にとって、M&Aを行うことにはどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。それでは、見ていきましょう。
M&Aのメリット
小規模事業者にとって、M&Aを行うことには以下のようなメリットがあります。
後継者問題の解決
小規模事業者の多くは、経営者の高齢化や後継者不足に悩んでいます。このままでは、事業を廃業せざるを得ないという状況に陥る可能性もあります。しかし、M&Aによって他の企業に事業を譲渡することで、事業の存続を図ることができます。譲渡先の企業は、自社の事業との相乗効果や新規事業の創出などの目的で、小規模事業者の事業を引き継ぐことがあります。このように、M&Aは小規模事業者の後継者問題を解決する有効な手段となります。
譲渡益の獲得
小規模事業者は、M&Aによって事業を売却することで、譲渡益を得ることができます。譲渡益とは、事業の売却価格から事業の譲渡にかかった費用を差し引いた金額のことです。譲渡益は、経営者の引退後の生活資金や、新たな事業の資金などに活用できます。また、譲渡益は、一定の条件を満たせば、所得税や法人税の優遇措置を受けることができます。このように、M&Aは小規模事業者にとって、財務的なメリットをもたらします。
事業の拡大や多角化
小規模事業者は、M&Aによって他の企業と合併することで、事業の拡大や多角化を図ることができます。合併先の企業は、小規模事業者と異なる業種や地域に強みを持っていることがあります。このように、M&Aによって事業の範囲や規模を広げることができれば、市場の変化に対応しやすくなったり、競争力を高めたりすることができます。また、合併によって、経営資源やノウハウの共有や相互補完ができることもあります。このように、M&Aは小規模事業者にとって、事業の成長の機会を提供します。
M&Aのデメリット
一方で、小規模事業者にとって、M&Aを行うことには以下のようなデメリットもあります。
交渉力の不足
小規模事業者は、M&Aの相手となる企業との交渉において、交渉力が不足していることがあります。相手企業が規模や経験が大きく異なる場合、小規模事業者は相手企業の言いなりになってしまう恐れがあります。また、小規模事業者は、自社の事業の価値を正しく評価できないこともあります。このように、交渉力の不足は、小規模事業者にとって、不利な条件でのM&Aを招く可能性があります。
経営方針の相違
小規模事業者は、M&Aによって他の企業と経営統合することで、経営方針の相違に直面することがあります。経営統合後には、両社の経営方針や文化を調整する必要がありますが、これは容易なことではありません。特に、小規模事業者の経営者が経営権を失う場合、自社の事業に対する影響力が低下したり、自身の理想とは異なる方向に事業が進んだりすることがあります。このように、経営方針の相違は、小規模事業者にとって、M&Aの成功の妨げとなる可能性があります。
従業員や取引先の反発
小規模事業者は、M&Aによって事業を譲渡することで、従業員や取引先の反発を招くことがあります。従業員は、M&Aによって自身の雇用や待遇が不安定になったり、新しい組織や上司に馴染めなかったりすることがあります。取引先は、M&Aによって信頼関係が崩れたり、取引条件が変わったりすることがあります。このように、従業員や取引先の反発は、小規模事業者にとって、M&Aの円滑な実施や事業の継続に影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
以上、小規模事業者にとってのM&Aのメリットおよびデメリットについて説明してみました。小規模事業者にとって、M&Aは事業の存続や成長のための有効な手段ですが、同時に様々なリスクも伴います。M&Aを検討する際には、自社の事業の価値や目的を明確にし、相手企業との交渉や経営統合における課題や対策を考えることが重要です。また、M&Aに関する専門的な知識や経験が不足している場合には、M&Aの仲介や支援を行う専門家に相談することもおすさまです。
